けんぷファーとプリンセスチュチュの相似性

2009年アニメのワーストにノミネートされることも多いけんぷファー
その中でも何かと話題になった11話
巷じゃ、投げっぱなしとか超展開とかイロイロ言われてますが
私は見たときに「なるほど!」とこれまでの展開に合点がいきました
これは「プリンセスチュチュ」の「卵の章」だったのだ、と

  • 「ナツル」=「みゅうと」、「雫」=「チュチュ」

とするならば、執拗に繰り返されたキスは「心のかけら」であり
11話にして雫(あひる)はナツル(みゅうと)に振り向いてもらえたのです


そうすると序盤から無条件にナツルの心を捉えていた「楓」はまさしく「るう」であり
終盤に現れたいわゆる「黒楓」は「プリンセスクレール」であり
「モデレーター」は「ドロッセルマイヤー」、「臓物アニマル」は「エデル」という構造をとっていると判ります

  • 「バレエ」=「バトル」

最終決戦での棒立ちっっぷりが目立つナツルですが、彼も戦闘に参加すべきだったのでしょうか?
「卵の章」のクライマックスにおいて、みゅうとはチュチュを選びパドドゥを踊りますが
踊ること自体には大した意味はないのは自明で、重要なのはクレールよりもチュチュを選んだということです
ならば「雫と紅音と水琴を選」び、楓の誘惑を撥ね退けたナツルは別に戦闘に加わる必然性はありません
むしろ、肉弾戦で負けた楓に精神的にトドメを刺すという、見事なコンビプレーです

  • 「楓」=「大鴉」

上のような見方を基本にすれば、チュチュとの差異からけんぷファーの構造もいろいろ類推できます
モデレーターは金冠町を作らなかったし(おかげで、赤青間の闘争の強制力がなくなりました)
楓は(雫の予想を信じるなら)「大鴉」の力を飲み込んでおり、黒幕そのものです
但し楓の力はドロッセルマイヤーの領域には未だ至らず、
チュチュ(ナツル)を介して「お話」を掌握しようとしたのでは?とも考えられます

  • 結論

黒田やすひろ監督らによる超演出が目立ちがちですが
けんぷファーの根底にあったのはナツルの心を悪の姫君から取り戻す物語であり
11話においてその物語は一応の区切りを迎えた、と見ることも充分に可能だと思います